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2015年10月14日 (水)

生半可な計画はダメだ。みささぎの道。

秋の紅葉には早い季節にゆっくりと実りの秋の奈良を歩こうと計画した。

 

5ヶ月は籠っていたので体が萎えチョット動くにもあちこちが痛い。パソコンに向かい30分もして立ち上がると肩も腰もそのままの姿勢でいないと攣りそうな気がする。

座った形で足を伸ばし立ち上がり腰をひねるわけにもいかず背中は猫背のまま足だけを動かして体を運ぶ体勢だ。5mも歩くと徐々にふだんに戻る。こんな体調でいい加減に案内書を見て解ったつもりで現地に行くことになる。

 

初日は「みささぎの道」となずけられた天皇陵の多くある平城京の北を歩くことにした。案内のある本は11km、違う本には2時間とある。歩き始めは2時間で終わったら残り時間は如何過ごそうと心配した。

 

11時頃から奈良公園を出発した。東大寺南大門脇を戒壇堂に抜けその前では時間が足りないといけないから内部の見学は見合わせようとさっきとは裏腹なことを考え通り越した。
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鑑真は当時国家公務員だった僧侶に戒律を授ける為苦労して来日し、日本に到着し何日もしないうちに東大寺の大仏開眼式に無理な出席を強いられた。
20人余の唐から一緒に来日した律宗の僧侶と伴に戒壇堂で過ごした。聖武天皇の死に伴い程なく掘立小屋一軒の西ノ京の地に追いやられる。

 

大仏殿の後ろを見て大きな池を回り込み正倉院を一回りする。
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正倉院は塀で囲まれ外から校倉造の外壁を写す。
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出発点の転害門。東大寺は2度兵火に会って全焼しているがこの門は一度も焼けていない。鎌倉時代に修復しているが当時の姿という.柱の一部は奈良時代のものが使われている。国宝。国宝も猫害に勝てず野良猫に餌を与えないでくださいの立て看板が有る。
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ガイドの老人が説明してくれた。教えてもらえるのは有り難い。この門の前を通る道が平城京の境で東大寺は都の外とのこと。興福寺や元興寺は都の内になる。前を直角に通る道を一条通と言い大極殿に通じる。南の二条通は朱雀門に通じると言う。手製の地図を見せてくれた。

二番目のピンクの線が一条通で三番目の線が二条通。これから見学をしながら地図の左上の秋篠寺に行く。転害門は右端の上から二番目のピンク線の始まりにある。
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通りは狭く車のすれ違いは小型車でやっとだ。恐々歩くが川を渡ってすぐの聖武天皇陵を見逃しすれ違った人に聞いたがハッキリは解らなかった。会話を聞いてた人が教えてくれたが100m戻ったところに宮内庁の案内が有った。地元でも興味のない人にははっきりしない。

 

聖武天皇陵
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光明皇后陵 並んであるがこちらは移されたらしい。
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次の目当ては興福院(こんぶいん)で予約しないと内覧は出来ない。予約はしなかったので外から拝観したが中々綺麗な尼寺だ。庭も仏像も立派らしい。
此処の門前の広場で一条通の食品スーパーでかった握り飯を食した。
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お寺の前の道は「歴史の道」と石標が有り一条通に戻らなくても次の神社やお寺に行けるらしい。

 

狭岡神社に出る。サホヒメと兄のサホヒコの古事記に出てくる話がある。サホヒコはその地の強力な豪族でサホヒメは絶世の美女で垂仁天皇の后であるが兄の命令通り天皇を殺そうとするが出来ない。天皇より兄に付き身ごもった赤子が生まれ子を天皇側に渡したが兄と伴に攻められ焼き打ちに会う話だ。この辺りを佐保というが狭岡はサホオカというのでその謂れか?

数年前 西の京から西大寺まで歩いた時に垂仁天皇の巨大な前方後円墳を見たのがその名を知った始まりだ。伊勢神宮をその地に定めた倭姫は垂仁天皇の子供だとか旅の途中で色々つながりが出て来て興味がわく。
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不退寺に行く。在原業平の祖父の平城天皇が萱御所と言い政務を司った所だと言う。業平作という本尊がある。春は草花が綺麗だろう。奈良の寺はこの形の屋根が多く落ち着いて美しい。

 

晴れの予報だったが一転にわかに曇りだし雨は降らないが無気味な天気になってきた。迷わず歩いたが空の暗さで時間が掴めず3時過ぎの感覚だ。
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線路を切通の上の細い鉄橋で渡るとウワナベ古墳だ。巨大でびっくりする。天皇家でなくても大きな墓を作れる権力者もいる。
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海龍王寺、法華寺の標識が有ったのでその方に行く。

海龍王寺の室内に安置された五重塔、国宝だ。
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五重塔小塔の安置された西金堂。鎌倉期の修理は有るが天平時代の建物
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本堂。有り難い仏像が並んでいる。
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隣の法華寺に行く。ここは国分尼寺の総本山という。光明皇后が施薬院や風呂を設け千人の垢を流すとか医療福祉に力を入れたところ。
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この雨空と疲労から時間を間違え2時過ぎなのに3時過ぎと思い込みお寺で道を聞いた時もこれから秋篠寺に行くには4時半までに入寺しなければならないからとの会話もあり古墳を巡らないで西大寺に直行してしまった。

大極殿の脇を通り越す。雨がぽつぽつくる。
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西大寺からは時間に追われていると勘違いしてバスに乗ってしまったが秋篠寺に着いたら一時間読み間違っているのに気が付いた。
秋篠寺は落ち着いた雰囲気の苔の美しい良い寺だ。薬師如来と十二神将、伎芸天像の仏像も良い。

国宝の本堂。このころは晴れている。
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門前に場違いな奈良競輪場が有り他の競輪場の模様が放映され場外券を売っている。何十人かの人が居て飲食店が開いていた。そこを突っ切って平城駅に着いたら近所に神功皇后陵がある。行かねばと小高い丘を登った。方向は違うが孝謙天皇、後に二度目の皇位に着き称徳天皇と言って道鏡に狂った女帝様の陵にも行きたかったが断念した。
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参拝し終わるとうす暗闇になり4時半にはなっていた。道に迷ったわけでもなく休まず歩きとおしたが案内に2時間とある道中に5時間半もかかってしまった。足の衰えもあるが各お寺が素晴らしく建造物、仏像に見惚れたせいもある。歩き初めに時間が余ったらどうしようと心配したのは大いなる自惚れだった。自主トレとしては完歩できたので良しとしよう。

近鉄奈良駅に5時半ごろ着きJR奈良駅まで歩いたらJRの駅近くに9代天皇の開化天皇陵に出く合した。サホヒメの神話に通じる天皇だ。

 

奈良は暖かい仏像が多く気持ちがゆったり安心する。

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コメント

私のようなぶらり旅と違って目的を、それも清々しい目的をもってきちんと歩かれる、真似ができません。
奈良にはもう行くことがないのかなあ、などと思いながら拝見しました。

佐平次さん 自己を持ち気の許す儘、豊かな大人旅は出来ません。未だ未だあれもこれも見ようと修学旅行です。

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