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2015年12月22日 (火)

朴庵塾で習った傷寒論。序文と仲景先生

朴庵塾は傷寒雑病論を極めようとする塾です。紀元0年頃の理論を出来るだけ再現しようと真剣に学んでいます。繰り返し読んでいるとあちこちが結び付き大きな成果を上げることがあります。

朴庵先生は幼少時に四書五経を読破した天才といいます。先生が赤貧を洗う生活をしながら確立した解釈法が最高と思え同学の者がグループに分かれ勉学しています。

 

塾に入ると先ず序文を暗記します。これが極めて大事な人生訓で漢学を学ぶ心得を語っています。

 

高校の時からの友人のご主人が書の師範であると知りこの序文を額と掛け軸としてもらいたいとお願いしたのは20年も前の事です。

 

普通、書にするには長すぎ大家になると書かないと言います。私くらいの腕の者が気紛れに書くくらいだとも言われました。快く引き受けてくれました。

額の方は常時店頭に掲げていました。掛け軸は正月に床の間にかけいていたが最近はしていませんでした。

この暮れに思い切って傷寒論の著者仲景の像と伴に掛けてみました。立派です。倅も暇を見つけては勉強に来ていてだいぶ身についてきたようです。これから七草の過ぎるまで飾って前で序文を読みましょう。折に触れ仏壇の前で般若心経を上げるが序文も上げるようにしようと思います。
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仲景先生像
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序文の最初を紹介します。
論曰余毎覧越人入虢之診望斎侯之色未嘗不慨然歎其才秀也

虢(カク)は国の名です。小国が沢山あった時代です。
著者の仲景がそうありたいと思っている事が有ります。
私は何時もいつも扁鵲先生が虢の国の幼い皇太子が亡くなったと国中が悲しんでいる時に見事に皇太子を蘇生させたり、斉の国の王の顔色を見て手当てをしなかったら半年で死ぬと言って薬を作って手渡したが国王の桓公が飲まなかったので其の通りになった故事を聞くに附け扁鵲先生の才能の秀でたのを羨ましく腹立たしいほど感心しない訳にはいかないのです。

怪当今居世之士曾不留神医薬精究方術上以療君親之疾下以救貧賎之厄中以保身長全以養其生但競逐栄勢企踵権豪孜々汲々惟名利是務崇飾其末忽棄其本華其外而悴其内皮之不存毛将安附焉

現在の立派と言われる人々は扁鵲先生が施した優れた医術を知りながら少しでも医薬に関心を持ち漢方の研究をし目上の者に対しては国王や親の病気を治し、目下の人達では貧しい人の苦しみを救ったり自分自身では養生をしっかりし体を大事に長生きをしようとはしないで争って冨を求め権力あるものに取り入り利益を得ようとし明けても暮れても名誉と冨を得ることばかりに夢中になっている。若し一旦重病になったら眼の色を変えて追っていた財産や名声などと言うものはなんの役に立つのであろうか。

 

卒然遭邪風之気嬰非常之疾患及禍至方震慄降志屈節欽望巫祝告窮帰天束手受敗賓百年之寿命持至貴之重器委附凡医恣其所措咄嗟嗚呼

 

 

 

無理をして行動していたが愈々異常気象や過労から重い病気なって初めて恐れおののき普段は相手にしなかった巫女さんや神主さんにすがりつき言うままに成ってしまう。なんら為すすべもなく自然の成り行きにまかせてしまう。百年は生きられるかけがいの無い貴重な寿命を持ちながら方術をろくに知らない凡医に任してしまい取り返しがつかなくなってしまう。普段からしっかり養生しない態度を嘆いています。

 

 

 

厥身已斃神明消滅変為異物幽潜重泉徒為啼泣痛夫挙世昏迷莫能覚悟不惜其命若是軽生彼何栄勢之云哉

 

 

 

重病に取り付かれてしまった身は命は消え黄泉の国に潜み周りの人を嘆き悲しませます。世の中の人が全て闇を彷徨い名利に惑わされ真に体に良い事を知ろうとしないで大切な命を軽んじています。人々が追い求めた栄耀栄華などよりはもっと大切なものが有るのです。

 

 

 

而進不能愛人知人退不能愛身知己遇災値禍身居厄地蒙蒙昧昧惷若遊魂哀乎趨世之士馳競浮華不固根本忘軀狥物危若冰谷至於是也

 

 

 

栄勢を得ることだけに夢中になって自分や周りの人のことも解らず災難や損害に遭い放題で危険な場所に陥り真っ暗闇に入り込みながら其れを自覚しないで居るさまは浮かれ魂が彷徨っているようです。哀れな事に華やかさばっかり追い求め身体の状態を忘れいる人々は危険な氷の絶壁に立っているようです。そうであってはいけないのです。

傷寒論序文の最初部分を紹介しました。一途に学びましたが道半ばです。
現在この道から遠ざかっていますが再び集中することがあるかな?。

 

 

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コメント

政治家にも当てはまる言葉ですね。
いな、すべての人に。

佐平次さん 人間は過ちを繰り返します。それを見て自分の規範を緩めようとします。反省です。

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